介護職に従事していると、身体的・精神的な負担が日々積み重なり、気づけば大きなストレスになっています。
毎日の業務で心身が疲れ切ってしまうのもあり、「ストレスを感じたくない」と強く思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、介護職が抱えているストレスの原因を解説し、少しでも負担を減らすための対策や解消法をお伝えします。
この記事を読むことで、どんな悩みを抱えている方も、少しでも心が軽くなる手助けができればと思います。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
介護職のストレスの原因とは?
介護現場でストレスを感じていると、「私だけが悩んでいるのかな?」と孤独に感じる瞬間がありますよね。悩みを話せる相手がいないと、余計に不安が募ります。
でも、実は多くの介護職が同じような悩みを抱えているかもしれません。ここでは、特に多くの人が抱えやすいストレスの原因を挙げてみました。
- 職員間のストレス
- 利用者・家族間のストレス
- 人手不足によるストレス
- 給料面によるストレス
- 身体的なストレス
職員間のストレス
介護職は、少人数のチームで業務を行うのが一般的です。少人数での仕事はアットホームな雰囲気があり、互いに支え合う面もありますが、閉鎖的な環境に陥りやすい特徴もあります。職員同士の距離が近い分、トラブルが発生する場面も少なくなく、コミュニケーションがストレスの原因となる場合があります。
また、介護現場では、10代から60代と幅広い年齢層が一緒に働く場面がよくあります。この年代差から価値観や働き方に違いが生じるケースが多く、そのギャップがコミュニケーションの摩擦を生む原因となります。こうした問題が積み重なると、職場での人間関係にストレスを感じる方も多いです。
このような職場の状況に悩んでいる方は少なくありませんが、うまく対話を重ねて信頼関係を築くと、少しずつ改善していける場合もあります。
以下の記事では、介護現場でどうすれば良い人間関係が作れるのかを、詳しく載せていますので、合わせてご覧ください。
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介護現場でストレスになる3つの原因とは?良い人間関係の作り方やストレス解消法も解説
利用者・家族間のストレス
介護職では、職員間の人間関係だけでなく、利用者さんやそのご家族との関係がストレスの原因になるケースがよくあります。「利用者さんとの接し方がうまくいかず、信頼関係が築けない」「ご家族からの要望に対応できず困っている」と感じる瞬間があるでしょう。
介護職は、利用者さんやその家族と良好な関係を築くのが大切ですが、時には無理な要求や心無い言葉を受ける場面もあります。こうした状況が続くと、モチベーションが下がり、ストレスが溜まってしまいます。
さらに、介護の現場では人手不足が常態化しており、一人一人に十分に時間をかけて向き合うのが難しい現実があります。その結果、良い関係を築けず、悩む時間が増えてしまいます。
加えて、認知症のある利用者さんとの接触では、時に暴言を浴びせられる場面もあり、そのような状況が心の負担となるのも少なくありません。
人手不足によるストレス
介護業界は、長年にわたり人手不足が問題とされています。施設の運営に必要な最低限の人数をなんとか確保できていても、職員一人ひとりの業務量が非常に大きくなりがちです。こうした状況の中で、休暇を取るのが難しい職場も多く、休みを申し出るときにためらいを感じる職員も少なくありません。
業務が過剰に多くなると、時間内に仕事を終わらせるのが困難になり、残業が常態化します。その結果、仕事の負担が一層増加し、ストレスが溜まりやすくなります。
介護職の待遇改善や職場環境の整備は進められているものの、介護職の需要は今後も増加する一方です。業界全体での人材確保の課題は、ますます深刻になるのが予想されます。
そのため、業界の未来に向けて更なる対策が求められており、働く環境が改善されない限り、介護職のストレスや負担が解消されるのは難しいかもしれません。
以下の記事では、私が介護現場で限界に達したときの経験談を載せていますので、良かったら読んでみてください。
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介護職で私がストレスで限界に達した3つの理由と3つのストレスサインやストレスを溜めない3つの対策を解説
給料面によるストレス
介護職の処遇改善が進んでいるものの、実際にはその努力や成果が給与に反映されていないと感じる職員が多いのも現実です。「もう少し給与が高ければ…」と不満を抱えながら働く人が少なくありません。
介護職の給与に関して、厚生労働省の調査によると、介護職の平均月収は約25.6万円、年収は約362.9万円です。また、平均ボーナスは約53.9万円となっており、年収の内訳は月収の約7割~8割が手取りとなるため、おおよそ18万円~20万円程度の手取り額になる方が多いです。
さらに、介護職は勤続年数が長くなるにつれて給与が上がる傾向にありますが、それでも業務負担に見合った給料が支払われていないと感じる方が多いです。資格取得により手当が支給される施設もありますが、人手不足の現場では勉強する時間すら取れない問題もあります。
介護職が抱える給与に対する不満は根強く、処遇の改善が求められる状況です。
身体的なストレス
介護職は、体力を必要とする業務が続くため、身体的な負担が大きく感じられる場面が少なくありません。特に腰痛や肩こりといった慢性的な痛みを抱えるケースが多く、それが長期間続き、ストレスが溜まります。
また、夜勤がある施設では、勤務時間が不規則になりがちです。特養や老健などの施設では、夜勤が定期的にあるために昼夜逆転し、生活リズムに慣れるのが難しい方もいます。その結果、体力的に厳しく感じる方もいるでしょう。
不規則なシフトが続くと、生活のリズムが乱れ、睡眠不足や体調不良を引き起こします。体調不良が重なると、心身共に疲れやストレスを感じやすくなります。
体調管理が難しい中で、介護業務をこなすのはとても大変です。仕事を続ける中で、身体の痛みや不調が日常的に付きまとい、その影響が業務にも出てしまう場面が多くあります。
介護職ストレスの対処法と解消法
介護職に従事する中で、溜まるストレスに対処する方法を知っておくのは、とても重要です。日々の負担を軽くし、心身の健康を保つためには、自分に合った解消法を見つけるのが重要です。
この記事では、介護職が直面しやすいストレスの特徴を踏まえながら、その発散方法や具体的な対処法を解説します。
- 誰かに話を聞いてもらう
- 価値観を受け入れる
- 適度に運動する
- 楽しみを見つける
- 生活習慣を見直す
誰かに話を聞いてもらう
悩みを抱え込むと心の負担が大きくなりますが、誰かに話すだけで気持ちが軽くなります。話し相手がいるだけで安心感を得られるものです。
同僚には言いにくい内容でも、家族や友人なら気兼ねなく打ち明けられるかもしれません。日常の愚痴や気持ちを共有するだけでも、心のモヤモヤが和らぐ効果があります。
他にも悩みを話した内容から、新しい視点やアドバイスを得られ、意外と簡単に問題が解決する場合もあるでしょう。また心の整理がつきやすくなる場合も少なくありません。
解決を焦らず、自分の気持ちを吐き出せるように集中しましょう。適度に人に頼れると、ストレスをため込まず、穏やかな気持ちで過ごせるようになります。
以下の記事では、私が直接アンケート調査した内容を載せていますので、他の職員がどんな方法でストレスを解消しているのか分かります。ぜひ合わせてご覧ください。
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私が独自に介護職員18人に聞いたストレスを感じる瞬間やストレス解消法のアンケート調査を解説
価値観を受け入れる
コミュニケーションが取りにくい職員や利用者、ご家族との関わりでストレスを感じる場面は少なくありません。しかし、そのたびに深く気にしていては心が疲れてしまいます。
自分と異なる価値観や考え方に無理に共感しようとすると、かえって負担が大きくなります。そんな時は、「人それぞれ考え方は違うもの」と、相手の違いを客観的に受け止める姿勢を持つのが大切です。
違いを理解しようとする意識を持つと、自分の心が落ち着き、過剰に反応しなくなります。冷静さを保てれば、ストレスに対処する余裕が生まれるでしょう。
全てを受け入れるのではなく、自分の考えを大切にしながら相手を理解するのが、より良い人間関係を築く第一歩となります。
適度に運動する
適度な運動は、体の健康だけでなく心の安定にも良い影響を与えます。激しい運動をする必要はなく、日常的に取り入れやすいウォーキングや軽いストレッチでも十分です。
体を動かすと血流が促進され、筋肉のこわばりが解消されます。その結果、体が軽く感じられ、疲れが取れやすくなるでしょう。
さらに、運動中に感じる適度な疲労感は、心を穏やかにし、ストレスの緩和に役立ちます。特に自然の中で行う運動は、気分転換としても効果的です。
毎日の生活に無理のない範囲で体を動かす時間を取り入れると、心身のリフレッシュにつながり、活力が湧いてくるはずです。
楽しみを見つける
自分が楽しいと思える趣味があると、仕事で頭がいっぱいになるのを防げます。プライベートな時間を充実させて、心身をリフレッシュする効果が期待できます。
例えば、休日にはお気に入りの本を読んだり、映画を楽しんだりと、自分が本当にリラックスできる趣味に時間を使ってみてはいかがでしょうか。
また「仕事が終わったらカラオケで好きな歌手の歌を熱唱しよう」など、日々の中に小さな楽しみを設定すると、仕事へのモチベーションも上がります。
こうした些細な楽しみを見つけると、日常にメリハリが生まれ、仕事とプライベートのバランスが整いやすくなるでしょう。
以下の記事では、介護職のストレスと上手に向き合う方法を載せています。きっと役立つと思いますので、ぜひ合わせてご覧ください。
関連記事:
介護職員に多い3つのストレスサインとストレスと上手に向き合う5つの方法や3つの原因も解説
生活習慣を見直す
介護職は不規則な勤務形態が多く、生活リズムが崩れやすい環境です。そのため、意識的に自分の生活を整える工夫が必要になります。まずは、できる限り睡眠時間を確保し、しっかりと身体を休める時間を作るのが大切です。
また、食事は健康を支える基本です。忙しい中でも栄養バランスを考えた食事を心がけ、偏った食生活による体調不良を予防しましょう。
特に、夜勤のある方は不規則な食事になりがちです。軽い食事を分けて取るなど、自分の体に合ったスタイルを見つけると良いでしょう。
日々の仕事を乗り越えるためには、体のケアが最優先です。健康的な生活習慣を意識し、無理のない範囲で生活リズムを整えていきましょう。
介護職がストレスを抱えやすい施設の特徴
介護職の精神面にストレスを与える原因は、施設の環境にあることも多いです。中には、職員が働くうえで改善すべき問題がある施設もあります。
ここでは、介護職がストレスを抱えやすい施設の特徴を、4つ解説します。
- 労働基準に反している
- 休みが取れない
- ハラスメントがある
- 医療行為をさせる
労働基準に反している
厚生労働省が定める基準では、1日の労働時間は8時間、1週間では40時間までとされています。この規定は、働く人々の心身の健康を守るために設けられたものです。
しかし、介護業界では慢性的な人手不足の影響で、労働基準法が守られていない施設は珍しくありません。こうした環境では、職員に無理な働き方をさせるケースも発生しています。
たとえば「予定されている休憩時間が取れない」「夜勤時に割増賃金が支払われない」といった例は、労働基準法に違反する行為です。このような状況が続けば、職員にとって大きな負担となるのは明らかです。
こうした不適切な労働環境は、職員のストレスを増大させ、最終的にはメンタルヘルスの悪化につながる可能性があります。この問題に対して早急な改善が求められるのは言うまでもありません。
休みが取れない
職場で休みが取れない状況が続くと、心身に大きな負担がかかります。休みを希望しても通らないと、体調が優れなくても無理して出勤するため、その結果ストレスが増します。
そのような状況が続くと、仕事へのモチベーションの低下や体調を崩す原因にもなりかねません。過度な無理を強いられると、精神的にも肉体的にも疲弊します。
介護職にとって、心身をしっかりと休める時間は必要です。仕事の合間にリフレッシュするのは、業務をこなすためにも非常に重要な要素です。適切な休養は、仕事のパフォーマンスにも良い影響を与えます。
もちろん、他の職員や施設の事情にも配慮する必要がありますが、希望する休日や有給休暇を取得するのは、労働者としての権利です。自分の健康を守るためにも、休暇をしっかりと取得できる環境が整っているのが大切です。
ハラスメントがある
どの職場でも、ハラスメントが起こる可能性はゼロではありません。万が一ハラスメントが発生した場合には、早期に発見し適切な対応が取れれば、職場の雰囲気や価値観を改善できます。その結果、働きやすい環境を作り出せるでしょう。
一方で、上司に相談しても問題が解決せず状況が改善しない場合は、施設自体に問題があると言えます。施設が適切な対応をとらない場合、働く環境としてふさわしくない可能性があります。
また、施設が定めているハラスメントに関する指針が、実際に認識している内容と食い違っている場合もあります。この場合、対応の遅れや不十分なところがあるため、早急に適切な方法を考える必要があります。
そのような状況が続く場合は、施設内で解決が難しい場合もあるため、外部の公的機関に相談するのも一つの手段です。自分の権利を守るためには、外部に支援を求めるのが重要になる場合もあります。
医療行為をさせる
介護の現場では、利用者が医療的なケアを必要とする場合がありますが、介護職員が行える医療行為は法律で厳しく制限されています。たとえば、摘便やインスリン注射などの医療行為は、介護職員が行うのは禁じられています。これらの行為を職員に求める施設があるとしたら、それは重大な問題です。
「昔からやっている」「他の施設でも普通だ」といった説明を受けたとしても、法律違反であるのに変わりはありません。このような状況は、職員に不安や負担を与える原因となります。
違法な医療行為を強いられる環境では、精神的な負担が積み重なり、最終的にはメンタルに大きな影響を及ぼす可能性があります。このような場合は、早急に改善を求める行動が必要です。
対策としては、上司や施設の管理者に問題を報告するだけでなく、場合によっては外部の監督機関や専門家に相談するのも視野に入れるべきでしょう。
要注意:燃え尽き症候群
介護職は、心身に負担がかかりやすい職業です。仕事によるストレスが積み重なると、燃え尽き症候群(バーンアウト)につながる場合があります。
しかし、調子が悪くなる原因をすべてストレスだと片付けるのは危険です。不調を感じた時は、ストレスだけでなく、他の要因も考慮する必要があります。
ここでは、燃え尽き症候群の症状と予防策を解説します。
主な症状
燃え尽き症候群にかかると、身体にさまざまな不調が現れます。具体的には、吐き気や不眠、食欲の低下、さらには息切れや胃腸の不調がよく見られます。また、高血圧や飲酒量の増加なども症状として現れる場合があります。
精神的な面では、仕事への意欲の低下や無関心、自己肯定感の喪失といった兆候が見られる方が多いです。強い疲労感を抱え、怒りやすくなるほか、プライベートでも仕事が頭から離れない状態に陥る場合があります。
これらの症状は、初めは軽く感じるかもしれませんが、無理をして働き続けるうちに悪化する方が少なくありません。自分の状態に気づいた時点で早期の対処が必要です。
燃え尽き症候群は、心身に深刻な影響を与える可能性があるため、体調や精神面の変化をしっかりとチェックし、無理をしないよう心がけましょう。
予防策
燃え尽き症候群を防ぐには、心の余裕を保つ工夫が大切です。たとえば「定期的に休みを取る」や、仕事の優先順位を見直して「必要以上に抱え込まないようにする」が有効です。また、プライベートの時間を確保し、オンとオフの切り替えを意識的に行いましょう。
仕事の日には「自分が今日取り組むべき業務は何か」を明確にし、終える範囲をあらかじめ決めておくのもおすすめです。限界を超えない範囲での取り組みが、疲労やストレスを軽減する鍵になります。
さらに、悩みや困難に直面した際には、同僚や上司などに早めに相談するのも重要です。1人で抱え込まずに周囲と協力すると、気持ちに余裕が持てるようになります。
無理をしない働き方を意識し、適度に息抜きの時間を設けるのが、長く健康的に働き続けるための秘訣です。
以下の記事では、介護職のストレス症状が発症した場合の予防策に触れていますので、合わせてご覧ください。
関連記事:
介護職のストレス症状とは?ストレスが溜まると出る3つの症状や原因と3つの予防策も解説
ストレスチェックを試そう
日常の中で気づかぬうちに蓄積されているストレスは、やがて心身の健康に深刻な影響を及ぼします。無理を重ねる前に、自分のストレス状態を把握するのが重要です。
ストレスを放置しないためには、早めのチェックや対策が欠かせません。そこで、自分の心と体の状態を確認するための方法を解説します。
- ストレスチェックとは
- ストレスチェックの実施方法
- 質問票への回答
- 専門の医師が精査
- 結果が通知される
- 面接指導を受ける場合
- 就業状況の改善
- 職場環境の改善
ストレスチェックとは
ストレスチェックとは、2015年から労働安全衛生法に基づいて義務化された制度で、労働者のストレス状態を把握するための取り組みです。特に従業員が50人以上在籍する事業所では、年に1度の実施が義務付けられています。この制度は、従業員のメンタルヘルス不調を事前に予防するのを目的としています。
ストレスチェックを行うと、自分の心や体の状態を客観的に分かります。また、日々のストレスに気づきやすくなるため、適切な対処法を考えるきっかけにもなります。
ストレスの数値が高い場合には、専門家のアドバイスを受けながら、ストレス要因の改善や健康管理に取り組むのが可能です。こうしたサポート体制により、早期に対応できるため、深刻な不調を未然に防ぐ効果が期待されています。
この制度は、職場全体の健康環境を向上させるための有効な手段として、多くの企業で活用されています。
以下の厚生省ページに、参考資料(pdf)があります。
出典:厚生省 ストレスチェック制度 導入マニュアル
ストレスチェックの実施方法
まず、企業は「従業員のメンタルヘルスを守るためにストレスチェックを実施する」方針を明確に打ち出します。この指針は、職場全体で共有されます。
続いて、職場の衛生委員会がストレスチェックの具体的な実施計画を策定します。これには、どのような手順で進めるのか、誰が担当するのかといった詳細が含まれています。
これらの計画や方針は書面化され、従業員全員に対して正式に通知されます。事前に情報を伝えるため、従業員が内容を正しく理解できるように、明文化されています。
こうした取り組みは、会社全体でストレス管理を重視する姿勢を示すと同時に、従業員一人ひとりの健康維持をサポートする基盤となります。
1.質問票への回答
ストレスチェックは、従業員に配布される質問票への回答から始まります。この質問票は、直接配布される場合もあれば、ITシステムを通じてオンラインで提供される場合もあります。
質問票には、国が推奨する57項目が含まれています。内容は非常に幅広く、従業員の気分や心理的な状態についての質問が中心です。
さらに、仕事量やその負担感、職務に対する意欲、そして同僚との人間関係に関する項目など、職場環境全般についても問われます。
これらの質問に回答していくと、自分自身のストレス状況を振り返り、心身の健康状態を把握するきっかけになります。
2.専門の医師が精査
回答内容は専門の医師などが精査し、ストレスのレベルを評価します。この評価は、心身の状態を詳しく確認するための重要なプロセスです。
特にストレスが高いと判断された場合、該当者には医師による面接指導が推奨されます。これは、状況を改善するための適切なサポートを提供するためです。
面接指導では、従業員が抱える具体的な問題や不安について医師と話し合い、解決策を模索します。その際、職場環境の改善提案が行われる場合もあります。
このプロセスを通じて、従業員はストレスを軽減し、健康的な働き方を取り戻すためのきっかけを得られると期待されています。
3.結果が通知される
ストレスチェックが完了すると、結果が本人に通知されます。通知内容には、ストレスの度合いや状態に関する評価が含まれています。
特に、ストレスが高いと判断された場合には、その詳細も明示され、次の対応が必要かどうかがわかります。
医師による面接指導が必要かどうかといった、重要な情報もこの時点で本人に伝えられます。これにより、適切な対処方法を検討する第一歩が踏み出せます。
結果を受け取った本人は、自身のストレス状況を把握し、必要に応じてサポートが受けられます。
4.面接指導を受ける場合
高ストレスと診断された従業員のうち、医師からの面接指導が必要とされた場合、その従業員は面接が受けられます。
面接を希望する場合は、従業員は自ら申し出て、必要に応じて医師との個別の面談が行われます。
面接指導を受けると、ストレスの原因や対策について専門的なアドバイスが得られます。
このプロセスを通じて、従業員は自分のストレス状態を理解し、改善に向けた具体的なサポートが受けられるようになります。
5.就業状況の改善
企業は、面接指導を受けた従業員に対して、1ヶ月以内に医師の意見を聞きます。
医師の意見は、従業員の就業状況を改善するために必要な措置があるかどうか、またその措置がどのようなものであるかに関するものです。
その意見をもとに、必要と判断された場合には、就業時間の短縮やその他の対応策が講じられます。
こうした措置を通じて、従業員の健康と職場環境を改善し、ストレスの軽減を目指します。
6.職場環境の改善
ストレスチェックの結果に基づいて、企業は職場環境の改善を行うのが求められています。これは法的義務ではなく、あくまで努力義務です。
企業は、各部署や課ごとに集められた結果をもとに、専門の実施者によりデータを分析させます。
その分析結果をもとに、職場環境を見直し、必要な改善策を検討・実行します。
このプロセスによって、従業員のストレスを軽減し、働きやすい職場づくりを進めます。
以下の記事でも、介護職のストレスチェックの重要性を載せていますので、合わせてご覧ください。
関連記事:
介護職のストレス対策!定期的なチェックが健康を守る3つの理由とは?
対処が難しいストレスは転職を検討
どんなに工夫してストレスを解消しようとしても、状況や環境によっては改善が難しい場合もあるでしょう。そのようなとき、自分の心と体を守るために別の方法を考えるのが必要です。
介護職を長く続けるためにも、環境を変えるのを視野に入れてみてはいかがでしょうか。転職は新たなスタートを切るチャンスとなり、あなたの負担を軽減する選択肢のひとつです。
ここからは、今抱えているストレスの対処が難しい方に、自分に合うかもしれない3つの転職先を詳しく解説します。
- 訪問介護
- 通所介護
- 施設介護
訪問介護
人間関係での悩みが多い方には、「訪問介護」の働き方を検討してみるのがおすすめです。訪問介護では、要介護者や要支援者のご自宅を訪問し、身体介助や生活支援を行います。
この仕事の特徴は、基本的に1人で利用者のご自宅を訪れる点にあります。同僚と一緒に働く時間が少なくなるため、人間関係によるストレスが軽減されるかもしれません。
もちろん、事業所内では必要に応じて、スタッフ同士の連絡や調整が求められる場面もあります。ただ、勤務時間の大半は1人で行動するため、自分のペースで仕事を進めやすいのが魅力です。
同僚の目を気にすることなく利用者と向き合える環境は、人間関係に悩みを抱える方にとって大きな安心材料となるでしょう。
通所介護
もし、身体的な負担が大きく感じる場合は、デイサービスやデイケアといった通所型のサービスを選ぶと良いでしょう。この施設では、基本的に入所型の施設よりも利用者さんの介護度が低めであるため、身体的な負担が軽減されるケースが多いです。
通所型の施設では、利用者さんが日中に通うため、夜勤がないのが特徴です。これにより、仕事の時間帯が一定で、体調を崩さずに働きやすくなります。
また、体を使う仕事ではありますが、必要な身体介護の度合いが少ないため、負担が軽減される効果が期待できます。これにより、体調を維持しながら長く続けやすい職場環境が整います。
日勤のみで勤務できる点も、体調管理には大きなメリットです。仕事とプライベートの時間を上手に調整できるので、生活リズムを整えやすくなります。
施設介護
給料に対して不満がある方には、特別養護老人ホーム(特養)での勤務を検討するのをおすすめします。特養では、夜勤を担当すると、夜勤手当が加算され、通常の給与よりも多くの収入が得られます。
さらに、特養では住宅手当や扶養手当といった手当が充実している施設も多く、これらを加えると基本給以上の高収入が得られやすくなります。
給与を決めるのは基本給だけではなく、各種手当が大きなポイントになるケースも多いため、手当がどれだけ充実しているかを事前に確認するのが重要です。
給与面で満足のいく条件を整えたい場合、特養のような施設を選ぶと、安定した収入を得られるでしょう。
転職を成功させるポイント
転職を考える際には、失敗のリスクも頭に入れておく必要があります。特に、現職でのストレスが限界に達していると「とにかく今の職場を離れたい」気持ちが優先され、慎重な判断ができずに失敗してしまうケースが少なくありません。
そこで、転職を成功させるために、事前に確認しておくべき内容を4つ解説します。
- やりたいことを明確にする
- 必ず雇用条件を確認
- 職場環境を調査
- 即決しない
やりたいことを明確にする
自分が理想とする介護の姿を明確にし、それを基準に職場を選ぶのが重要です。
介護職を志す人それぞれに、「こんな介護をしたい」といった思いがあるはずです。しかし、その思いが曖昧なままだと、理念や方針が異なる職場に入る可能性があります。
自分の理想と職場の方針が合わない場合、日々の仕事に不満を感じ、ストレスを抱えやすくなります。その結果、心身に負担がかかりやすくなるのです。
どのような利用者に対し、どのような介護を提供したいのかを一度立ち止まって考えると、自分に合った職場を見つけやすくなるでしょう。
必ず雇用条件を確認
新しい職場に入職する前に雇用条件は必ず書面で提示されますが、その内容をしっかり確認せずに承諾してしまうと、後で想定外の問題が発生するケースがあります。特に、面接時に話し合った条件が書面に反映されているかを、慎重に確認するのが重要です。
また、提示された条件に納得できない点があれば、遠慮せず質問や確認を行いましょう。その場で疑問を解消しておくと、トラブルを未然に防げます。
提示された雇用条件は単なる確認で終わらせず、大切に保管するのも忘れてはいけません。契約内容に不一致が生じた場合、これが重要な証拠となるからです。
最終的に納得できた条件で働き始めるためにも、書面での条件確認を丁寧に行うのが、後悔しない転職のポイントとなります。
職場環境を調査
施設ごとの特色を理解して選んだとしても、実際に働き始めると職場の雰囲気が自分に合わないと感じる場合があります。入職前に描いていたイメージと実際の職場環境とのギャップが、ストレスの大きな要因となる場合も珍しくありません。
そのため、事前に職場の実際の様子を知るのが大切です。面接の際やスケジュール調整の段階で、施設内の見学をお願いしておくと、働く環境を具体的にイメージしやすくなります。
見学では、職場の雰囲気やスタッフ同士の関係性、利用者との接し方など、自分が働くうえで気になる点を確認すると良いでしょう。これにより、ギャップを減らし、自分に合った環境を選びやすくなります。
実際の現場を知る努力を怠らず、慎重に職場を選ぶのが、長く働ける環境を見つけるための重要なポイントです。
即決しない
転職を急ぐあまり、内定をもらった時点で即決してしまうケースは少なくありません。しかし、他にも自分に合った魅力的な求人が見つかる可能性があります。そのため、複数の求人に応募して選択肢を広げ、採用が決まった場合でも一度冷静に検討するのが重要です。
また、転職で失敗しないためには、注意点を押さえておく必要があります。求人票にアピールポイントが書かれていても、具体的な内容が不足している場合は特に慎重になりましょう。面接時に疑問点を直接確認しておくと、不明確な点を解消し、安心して入職を決められます。
さらに、面接の日程調整や入職時期が、極端にタイトな場合には注意が必要です。こうした状況は、施設側が早急に人手を確保したい事情を抱えている可能性があります。焦らずにじっくりと検討する姿勢が大切です。
転職を成功させるためには、冷静な判断と十分な情報収集が欠かせません。自分の希望条件や働きやすさをしっかり確認し、満足できる選択を目指しましょう。
【まとめ】ストレスを乗り越えるために、次の一歩を踏み出そう
この記事では、介護職におけるストレスの原因やその対策について詳しく解説しました。
介護職は肉体的にも精神的にも負担が大きいですが、利用者の笑顔や感謝の言葉から得られる喜びも大きい仕事です。ストレスを感じた際には、まず自分を無理に追い込まず、原因をしっかりと見極めて対処していくのが重要です。
それでも改善が見込めない場合は、職場を変えるのも一つの方法です。これまでの経験を活かし、自分にぴったりな職場を見つけるために、今一度自分の未来を見据えて考えてみましょう。
以下の記事では、介護現場のストレスを誰にも言えない方に、厚生省が運営している安心して相談ができる窓口を載せていますので、合わせてご覧ください。
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